退職後に届く住民税の通知を見て、「退職金からも再度取られるのか」と不安になる人がいます。結論から言うと、退職所得の住民税は原則として退職金の支給時に特別徴収済みです。翌年の通知は、主に前年の給与所得などに対するものです。この違いを理解すると、キャッシュフローの見積もりが安定します。
退職所得の住民税は10%
退職所得の住民税は、課税退職所得の10%(都道府県民税4%+市町村民税6%)です。本ツールでは円未満を切り捨てて表示します。勤続20年・退職金1,000万円なら課税退職所得100万円、住民税10万円、というイメージです。所得税と違い累進ではなく比例税率なので、見積もりしやすいです。
この10%は、給与所得の住民税(所得割10%+均等割など)とは別計算です。退職所得は他の所得と合算せず、独自の控除と2分の1を使ってから10%を掛けます。
払うタイミング
市区町村は、退職手当が支払われるときに特別徴収するよう求めます。振込額はすでに住民税控除後であることが多いです。例外として、支給額が少なく天引きしきれない、死亡退職、などでは普通徴収(自分で納付)になることがあります。その場合は市区町村から納付書が届きます。
退職後に届く「住民税決定通知書」の金額は、退職金の10%そのものではありません。前年1〜12月の給与所得などを基に、退職後の6月から(普通徴収なら4期)支払う分です。退職した翌年に請求が来るのは、この給与所得分です。
通知書の見方
通知書には、給与所得、公的年金等、その他の所得が並びます。退職所得が別に載ることがありますが、すでに特別徴収済みなら、これから払う税額には乗らないことが多いです。内訳の「所得割」「均等割」「森林環境税」などを確認し、本ツールで出した退職金の住民税と二重に数えないことがポイントです。
転職先で特別徴収が続く場合、通知は新勤務先経由になります。無職期間がある場合は普通徴収に切り替わり、口座引き落としや納付書払いになります。支払い月が重なると生活費が苦しいので、退職前に「翌年の住民税(給与分)」の概算も別ツールで見ておくと安心です。
失敗例:手取りを使い切る
退職金の手取りを住宅の一括返済に全額充て、翌年の給与所得に対する住民税の納税資金が足りなくなる、という失敗があります。退職金そのものの住民税は天引き済みでも、現役時代の年収に対する住民税は翌年に残ります。手取りの一部を「翌年の税金・社会保険料・生活予備」として残すのが安全です。
もう一つの失敗は、iDeCo一時金の住民税を見落として同年合算の課税所得を低く見積もることです。合算で課税所得が増えると、退職所得の住民税も比例して増えます。
関連ツールとの使い分け
退職金の住民税は本ツール、給与や公的年金の住民税は「住民税計算ツール」で見る、という使い分けが分かりやすいです。決定通知書の差額チェックが必要なのは、主に給与所得側です。医療費控除で所得税が還付されても、住民税は別計算・別タイミングである点にも注意してください。
引っ越した場合
退職の前後で引越すと、住民税の通知先が旧住所のままになることがあります。市区町村への転出届と、勤務先への住所変更を早めに行ってください。退職所得の特別徴収は支給時の住所地で処理されることが多く、翌年の給与所得分は1月1日時点の住所が基準になります。
通知が届かないまま滞納扱いになる失敗があるので、引っ越し後1〜2か月は郵便の転送を必ずかけてください。本ツールの住民税額は全国一律10%の概算で、森林環境税などの均等割は含めていません。
まとめ
退職金の住民税は課税退職所得の10%で、原則支給時に天引きされます。翌年の通知は現役時代の給与所得が中心です。手取りを使い切らず、翌年の納税と生活費を残したうえで、本ツールの内訳と通知書を照合してください。引っ越しをする場合は転出届と郵便転送を忘れず、通知が届かないまま滞納扱いになるのを防いでください。給与所得の住民税は別ツール、退職所得の住民税は本ツール、という使い分けが分かりやすいです。手取りの一部を翌年の納税口座に移しておくと安心です。