【図解】相続税の計算方法を具体例で解説!基礎控除から税率適用まで
相続税は「遺産にいきなり税率をかける」計算ではありません。正味の遺産から基礎控除を引き、残額を法定相続分で割って税率をかけ、いったん全家の税額を出してから、実際の取得割合であん分します。この順番を飛ばすと、市販の早見表ともシミュレーターとも数字が合いません。
ここでは遺産の課税価格8,000万円、相続人は配偶者と子2人、法定相続分どおりに分ける前提で、最後の納付額まで計算します。
目次
計算は6ステップで進む
- 各人の課税価格を合計する
- 基礎控除を引き、課税遺産総額を出す
- 課税遺産総額を法定相続分であん分する
- あん分額に税率をかけ、控除額を引いて合計する(相続税の総額)
- 総額を、実際に取得した課税価格の割合であん分する
- 配偶者の税額軽減や2割加算など、人ごとの加減算をする
税率がかかるのはステップ4の「仮の取得額」であって、ステップ5で実際の遺言の割合に税率をかけ直すわけではありません。ここを取り違えると、配偶者に寄せたのに税率まで下がったように誤算します。
ステップ1〜2:課税価格と基礎控除
前提の内訳は次のとおりです。
- 預貯金 4,000万円
- 有価証券 1,000万円
- 自宅(特例適用前) 3,200万円
- 葬式費用 200万円
- 課税価格の合計 8,000万円
法定相続人は3人なので、基礎控除は 3,000万円+600万円×3=4,800万円。
課税遺産総額は 8,000万円−4,800万円=3,200万円 です。この3,200万円が、税率表に入る金額です。8,000万円全体に税率はかかりません。
ステップ3〜4:法定相続分と税率表
配偶者の法定相続分は2分の1、子は各4分の1です。課税遺産総額のあん分は次のとおりです。
| 相続人 | 法定相続分 | あん分額 | 税額 |
|---|---|---|---|
| 配偶者 | 1/2 | 1,600万円 | 190万円 |
| 子A | 1/4 | 800万円 | 80万円 |
| 子B | 1/4 | 800万円 | 80万円 |
| 合計 | 1 | 3,200万円 | 350万円 |
税率の当てはめは次の速算表です(令和の現行表)。
- 1,000万円以下:10%
- 3,000万円以下:15%−50万円
- 5,000万円以下:20%−200万円
- 1億円以下:30%−700万円
1,600万円は「15%−50万円」なので 1,600×0.15−50=190万円。800万円は10%で80万円。三人がばらばらに自分の遺産へ税率をかけるのではなく、350万円という全家の税額を先に確定させます。
ステップ5〜6:あん分と配偶者の税額軽減
法定相続分どおりに分けると、実際の取得も配偶者4,000万円、子各2,000万円です。課税価格8,000万円に対する割合は2分の1と4分の1なので、350万円のあん分は次のとおりです。
- 配偶者:350万円×1/2=175万円
- 子A:87.5万円
- 子B:87.5万円
配偶者の税額軽減は、配偶者が実際に取得した額が 1億6,000万円 と 配偶者の法定相続分相当額 のいずれか大きい方までなら、その範囲の税額を差し引きます。今回の取得4,000万円はこの範囲内なので、配偶者の175万円は 0円 になります。
納付するのは子2人で 175万円(各87.5万円)です。軽減で消えた175万円が子に上乗せされるわけではありません。
取得割合を変えると子の税額はどう動くか
同じ350万円を、実際の取得割合だけで割り直します。配偶者の取得を100%にすると、あん分はすべて配偶者になり、1億6,000万円の枠内なので一次相続の納付額は0円です。子の取得を増やすと、その分だけ子のあん分税額が増えます。
注意点は、税率表に入れた3,200万円の割り方は法定相続分のまま動かないことです。遺言で比率を変えても、ステップ4の350万円は同じです。変わるのはステップ5の配分と、ステップ6の軽減だけです。
兄弟姉妹が相続する場合は、あん分した税額にさらに2割を加算します。配偶者と子にはこの加算はありません。
まとめ
計算の骨格は「課税価格−基礎控除→法定相続分で税率→全家の税額を実際の取得であん分→配偶者軽減」です。8,000万円・配偶者と子2人・法定相続分の例では、税額の総額350万円のうち子の負担は合わせて175万円でした。
割合を動かしたときの一次と二次の合計は、手計算だと漏れやすいので、相続税概算シミュレーターで一次・二次相続のトータル税額を計算すると照合してください。基礎控除そのものの意味は相続税がかかる人の割合と基礎控除にまとめています。
よくある質問
Q.遺産8,000万円の全体に税率がかかりますか?
かかりません。配偶者と子2人の例では、基礎控除4,800万円を引いた3,200万円だけが税率表に入ります。この例の全家の税額は350万円です。
Q.遺言で取得割合を変えると、税率の計算からやり直しますか?
やり直しません。税率表に入れる割り方は法定相続分のままです。変わるのは、確定した税額を実際の取得割合であん分する段階と、その後の配偶者の税額軽減です。
Q.法定相続分で分けたとき、子が納める額はいくらですか?
税額の総額350万円のうち、配偶者の175万円は税額軽減で0円になります。納付するのは子2人で合わせて175万円です。消えた配偶者分が子に上乗せされるわけではありません。
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