相続税がかかる人の割合は?基礎控除の計算方法とボーダーライン解説
「うちは実家があるから相続税がかかるのでは」と不安になる人は多い一方、実際に申告が必要になるのは遺産の一部です。先に結論を書くと、税額が出るかどうかの第一関門は基礎控除です。式は 3,000万円+600万円×法定相続人の数 で、この額以下なら相続税はかかりません。
たとえば配偶者と子2人なら法定相続人は3人、基礎控除は4,800万円です。預貯金と自宅の評価を足してこの線を超えるかどうかが、最初に確認するポイントになります。
目次
相続税がかかる人はどのくらいか
国税庁が公表している相続税の申告状況では、亡くなった人のうち相続税の課税対象になる割合は、おおむね1割前後で推移しています。平成27年に基礎控除が引き下げられてから割合は上がりましたが、それでも大多数は「基礎控除の範囲内で申告不要」です。
割合が低い理由は単純で、都市部の持ち家でも、路線価や固定資産税評価額で計算すると市場の売買価格より低く出ることが多いからです。逆に、都心の土地、金融資産の蓄積、死亡保険金の受け取りが重なると、給与所得者の家庭でも線を超えます。
「かかる人は少ない」は平均の話です。自分の家が平均の外側にいるかは、人数と正味の遺産額で個別に見る必要があります。
基礎控除の計算式と法定相続人の数え方
基礎控除額は次の式だけです。
基礎控除 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
| 法定相続人 | 内訳の例 | 基礎控除 |
|---|---|---|
| 1人 | 子のみ | 3,600万円 |
| 2人 | 配偶者と子1人 | 4,200万円 |
| 3人 | 配偶者と子2人 | 4,800万円 |
| 4人 | 配偶者と子3人 | 5,400万円 |
人数は、遺言で誰がもらうかではなく、民法の法定相続人で数えます。放棄した人がいても、基礎控除の人数からは除外しません。養子は実子がいる場合、相続税の計算上は1人まで(実子がいない場合は2人まで)しか人数に入れられない制限があります。
子がいないときは親、親もいないときは兄弟姉妹が法定相続人になります。兄弟姉妹が相続すると、税額そのものに2割加算が付く点も後で効いてきます。
かかり始めるボーダーラインの計算例
課税の対象になる正味の遺産は、おおまかに次です。
正味の遺産 = 財産の評価額 − 債務・葬式費用
これが基礎控除を超えた部分(課税遺産総額)に税率がかかります。超えていなければ税額は0です。
例:配偶者と子2人(基礎控除4,800万円)
- 預貯金 3,000万円
- 自宅土地の評価 2,200万円
- 自宅建物 300万円
- 葬式費用 200万円
正味は 3,000+2,200+300−200=5,300万円。基礎控除4,800万円を500万円だけ超過します。この500万円を法定相続分で割り、税率表に当てはめた税額は数十万円規模に収まることが多いです。一方、同じ家族で預貯金が5,000万円あると正味は7,300万円、超過は2,500万円になり、税額は一段上がります。
失敗しやすいのは、売買のチラシ価格で土地を足すことです。相続税は路線価(または倍率方式)と建物の固定資産税評価額を使います。チラシの8,000万円が、評価では5,000万円台になることも珍しくありません。逆に、貸金庫や名義預金を漏らすと、後から過少申告になります。
足す財産・引ける債務・非課税になるもの
足すものには、現金・預貯金、有価証券、不動産、家庭用財産、死亡保険金、死亡退職金、相続開始前に持ち戻す生前贈与が含まれます。
引けるものは、借入金、未払いの医療費・税金、葬式費用です。墓地・仏壇の購入費や香典返しは、葬式費用に入れられません。
非課税の枠があるものもあります。
- 死亡保険金:500万円×法定相続人の数(受取人が相続人であることが条件)
- 死亡退職金:同じく500万円×法定相続人の数
- 墓所・仏壇・祭具など日常礼拝をしているもの
保険の非課税枠を使ったあとの残額だけが、基礎控除の判定に入ります。枠の使い方は生命保険金の非課税枠を活用した相続税対策で別途整理しています。
超えそうなときの次の一手
基礎控除を超えそうでも、すぐ納税額が出るわけではありません。自宅の土地は小規模宅地等の特例で評価が8割減になる場合があります。配偶者には配偶者の税額軽減があり、1億6,000万円または法定相続分まで税額がゼロになる仕組みがあります。
ただし、一次相続で配偶者の税額をゼロに寄せすぎると、配偶者が亡くなったあとの二次相続で子の税額が膨らむことがあります。基礎控除は一次と二次で別々に使います。一次で4,800万円、二次で子2人なら3,000万円+600万円×2人=4,200万円です。同じ財産が二度、別の控除と比べられる点を見落とさないでください。
まとめ
相続税がかかるかどうかは、まず 3,000万円+600万円×法定相続人 と正味の遺産の比較です。かかる人の割合は全体の1割前後でも、持ち家と金融資産が重なる家庭では超えます。評価額は売買価格ではなく相続税評価で見積もり、保険の非課税枠と債務を引いてから判定してください。
超えるか微妙なときは、相続税概算シミュレーターで一次・二次相続のトータル税額を計算すると、配偶者の取得割合を変えたときの差まで一度に確認できます。
よくある質問
Q.基礎控除はどう計算しますか?
3,000万円+600万円×法定相続人の数です。配偶者と子2人なら4,800万円です。遺言で誰がもらうかではなく、民法上の法定相続人で数えます。相続を放棄した人も、この人数からは除外しません。
Q.売買価格が基礎控除を超えていれば相続税はかかりますか?
売買価格では判定しません。土地は路線価や倍率、建物は固定資産税評価額で見ます。そこから債務と葬式費用を引いた正味の遺産が、基礎控除を超えたときだけ課税対象です。
Q.基礎控除を少し超えただけで大きな税額になりますか?
超えた部分だけが税率の対象です。配偶者と子2人で正味5,300万円なら超過は500万円で、税額は数十万円規模に収まることが多いです。遺産全体に高い税率がかかるわけではありません。
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