信託報酬は利回りから毎年引かれる
信託報酬は、投資信託を持っているあいだ、信託財産から日割りで差し引かれる運用コストです。購入時に一度払う手数料とは別で、残高がある限り毎年かかります。この記事では、想定利回りから報酬の年率を引いた率を実質利回りとし、その率で月次複利を計算しています。年5%・報酬0.5%なら、増える速度は年4.5%です。
目論見書の「年0.5%程度」は、100万円を1年持つと約5,000円という単年の話です。複利では、引かれなかった5,000円が翌年以降も増える側に残ります。引かれた側はその増分ごと失います。このため、単年の5,000円×30年=15万円、では終わりません。
購入時手数料が別にある商品は、この表よりさらに初年度の元本が減ります。表には購入時手数料を入れていません。
0.5%の差は20年で約65万円、30年で約205万円
毎月3万円、想定の値上がりは年5%で共通です。報酬だけを変えています。
| 信託報酬 | 実質利回り | 20年後 | 30年後 |
|---|---|---|---|
| 0% | 5.0% | 12,174,135円 | 24,461,277円 |
| 0.1% | 4.9% | — | 24,034,759円 |
| 0.2% | 4.8% | — | 23,616,739円 |
| 0.5% | 4.5% | 11,524,794円 | 22,411,923円 |
| 1.0% | 4.0% | — | 20,558,117円 |
| 1.5% | 3.5% | — | 18,880,433円 |
0%と0.5%の差は、20年で649,341円、30年で2,049,354円です。0%と1.5%の30年差は5,580,844円で、30年間に入れた元本1,080万円の半分を超えます。入れた金額は同じなのに、残る金額が報酬率だけでこれだけ変わります。
20年の列を空欄にした行は、30年の方が差が見えやすいため省略しています。必要な年数は画面で報酬率を入れれば出ます。利回りそのものを3%・5%・7%で動かした比較は、利回り別の20年後です。
元本500万円を30年置くと差はさらに大きい
すでに500万円あり、追加の積立をしない場合の30年後です。想定の値上がりは年5%、月次複利です。
| 信託報酬 | 実質利回り | 30年後 |
|---|---|---|
| 0.1% | 4.9% | 21,000,743円 |
| 0.6% | 4.4% | 18,196,379円 |
| 1.5% | 3.5% | 14,033,969円 |
0.1%と1.5%の差は6,966,774円です。単年では500万円×1.4%=7万円のコスト差に見えます。30年複利では、その差が約697万円まで膨らみます。残高が大きい人ほど、報酬率の小数第1位が効きます。
非課税口座でも信託報酬は引かれます。税金がゼロでも、コストは別です。新NISAの枠と税の差は、新NISAの複利シミュレーションで分けて説明しています。
報酬率だけを見て中身を飛ばす失敗
失敗の一つは、報酬が年0.1%未満であることだけを理由に、中身の値動きを見ないことです。報酬が低くても、株式の割合が高ければ下落幅は大きくなります。使う時期が近いお金には向きません。
逆の失敗は、分配金が毎月出ることを理由に、報酬が年1%を超える商品を長く持つことです。分配金を受け取ると複利の元本が減り、高い報酬がさらに残高を削ります。増やす期間の途中で受け取るより、報酬の低い商品で持ち続ける方が、表の上側に近くなります。
比較するときは、同じ資産の種類(たとえば全世界の株式)で報酬率だけが違う商品を並べてください。株式と債券を、報酬率だけで優劣づけないでください。
まとめ:比較は引いたあとの利回りで行う
毎月3万円・想定5%では、信託報酬0%と0.5%の差が20年で649,341円、30年で2,049,354円です。元本500万円を30年置くと、報酬0.1%と1.5%で6,966,774円開きます。単年の数百円、数万円では見えない差です。
商品を並べるときは、表示の利回りから信託報酬を引いた率で複利積立シミュレーターに入れてください。購入時手数料や、途中の分配金はこの表に含まれていません。
この記事に関するよくある質問
信託報酬 複利 影響について、結論だけ先に知りたいです。
毎月3万円・想定利回り5%で信託報酬が0%と0.5%なら、20年後の差は649,341円、30年後は2,049,354円です。元本500万円を30年置くと0.1%と1.5%で約697万円開きます。
記事の数字を、自分の積立額や利回りで試せますか?
はい。記事内のリンク、またはページ末尾のボタンから複利積立シミュレーターを開くと、初期元本・毎月の積立・ボーナス月・想定利回り・信託報酬・インフレ・NISAか特定口座・目標逆算・取り崩しを無料・登録不要で試せます。計算はブラウザ内だけで行い、サーバーには送信されません。
記事の金額とシミュレーターの結果は一致しますか?
本記事の金額は、月次複利で「その月の残高に利率をかけてから積立額を足す」このツールと同じ手順の概算です。信託報酬は想定利回りから差し引き、特定口座は運用益に20.315%をかけ、インフレは年末の資産を物価上昇で割り戻しています。初期元本やボーナス月を変えると結果は変わるため、最終的には自分の条件を入力して確認してください。