転職・退職したときの住民税の払い方
転職や退職をすると、「住民税はどうなるのか」「退職金から引かれるのか」と不安になる方は多いと思います。住民税は前年の所得に対する税金なので、会社を辞めたあとも納付が続きます。退職の時期によって、払い方が変わります。この記事では、時期ごとの取り扱いと手続きを整理します。
退職しても住民税の納付は続く
住民税は、前年1月〜12月の所得をもとに、翌年6月〜翌々年5月に納めます。そのため、年の途中で退職しても、すでに決まっている税額を最後まで払う必要があります。
たとえば、年税額が176,700円(年収400万円・独身の例)なら、退職して収入がなくなったとしても、6月〜翌年5月の分を納めなければなりません。退職後の資金計画には、この金額を見込んでおくことが大切です。
退職時期ごとの払い方
退職する時期によって、住民税の払い方は次のように変わります。
| 退職日 | 払い方の原則 |
|---|---|
| 1月1日〜4月30日 | 残りの分(5月分まで)を、最後の給与や退職金から一括で差し引く(一括徴収) |
| 5月1日〜5月31日 | 5月分のみなので、最後の給与から差し引く |
| 6月1日〜12月31日 | 普通徴収へ切り替えて自分で納める。希望すれば一括徴収も可能 |
1月〜4月に退職する場合は、原則として残りの全額が一括で引かれます。たとえば、年税額176,700円(毎月14,700円)の方が3月末に退職すると、4月分と5月分の14,700円 × 2か月 = 29,400円が最終給与から差し引かれます。最後の給与の手取りが、想定より少なくなるので注意してください。
6月〜12月に退職する場合は、普通徴収に切り替わり、自治体から送られる納付書で、残りの期日分を自分で納めます。たとえば、9月に退職すると、10月以降に残っている分を、納付書の期日(10月・翌年1月など)に分けて自分で納めることになります。
転職先で特別徴収を続ける手続き
転職先が決まっている場合は、特別徴収を続けられます。手続きは次のとおりです。
- 前の会社が、市区町村に「給与所得者異動届出書」を提出する(退職時に会社が行う)。
- 転職先の会社に、特別徴収を継続したい旨を伝える。
- 転職先が、市区町村から送られる異動届出書を提出する。
転職の間に空白期間がある場合は、いったん普通徴収に切り替わります。そのあと、転職先で特別徴収に戻せることもあります。入社後に、転職先の経理担当者へ早めに確認してください。
失敗例:退職後に納付書が届いて困った
退職後に、普通徴収の納付書(6月・8月・10月・翌年1月の4期)が届き、まとまった金額に驚くケースがよくあります。年税額176,700円なら、1回あたり約4万4,000円です。無職の期間に払うのは負担が大きいため、次の対応を検討します。
- 市区町村の窓口に相談し、分割や納付の猶予、減免を申請する。失業などで収入が大きく下がったときは、減免の対象になる場合があります。
- 口座振替を使い、納付の漏れを避ける。
- 退職前に、退職後の住民税の金額を試算しておく。
退職前に準備するときは、住民税計算ツールで、前年の年収をもとに年税額を確認しておくと安心です。前年の収入を使うことがポイントで、退職後の収入ではありません。
転職で年収が変わったときの影響
転職で年収が上がっても下がっても、住民税には1年遅れで反映されます。年収が下がった年でも、前年の高い所得に基づいた住民税を払うため、手取りが苦しくなりがちです。反対に、年収が上がった年は、住民税は前年のままで、翌年から増えます。住民税の計算の基本は住民税の計算方法(所得割と均等割)で、毎月の金額の目安は月収20万円の住民税はいくら?で確認できます。
退職前に会社へ確認したいチェックリスト
退職や転職が決まったら、住民税について次の点を会社に確認しておくと安心です。
- 退職日と、最後の給与の支払日。退職日によって、一括徴収か普通徴収かが決まります。
- 最後の給与から、住民税がいくら引かれる予定か。1月〜4月の退職では、残りの全額が引かれます。
- 退職後に納付書が届く場合の、おおよその金額と納期。
- 転職先が決まっている場合は、特別徴収を続けられるか。異動届出書の手続きを、前の会社と転職先のどちらが進めるか。
- 退職金がある場合の取り扱い。「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出していれば、退職金にかかる住民税は、支払い時に差し引かれて精算されます。
確認した内容は、メモに残しておきましょう。退職後の数か月は収入が不安定になりやすいので、納付額と時期を先に把握しておくと、資金計画が立てやすくなります。
とくに、退職後すぐに転職先が決まらない場合は、住民税のほかに、国民健康保険料や国民年金保険料の支払いも始まります。収入が減る時期に支払いが重なるので、貯蓄でどれくらい賄えるかを、退職前に一度計算しておきましょう。
まとめ
退職しても住民税の納付は続きます。1月〜5月の退職は、最後の給与や退職金から一括で差し引かれ、6月〜12月の退職は、普通徴収に切り替わります。転職先で特別徴収を続けるには、異動届出書の手続きが必要です。納付額が不安な方は、住民税計算ツールで事前に試算し、資金計画を立てておきましょう。
この記事のよくある質問
- Q. 退職したあとも、住民税は払い続ける必要がありますか?
- A. はい。住民税は前年の所得に対して課税されるため、退職して収入がなくなっても、納税義務は残ります。退職時期によって、最後の給与や退職金から一括で引かれるか、普通徴収に切り替わって自分で納めるかが決まります。
- Q. 転職先でも住民税を給与から天引きしてもらえますか?
- A. 転職先が特別徴収に対応していれば可能です。前の会社から退職時に「給与所得者異動届出書」が市区町村に出され、転職先にも異動届出書を提出すると、特別徴収が継続されます。転職先に入社後、早めに経理担当へ伝えてください。